物件契約

宅建業法で決められている物件契約で大事な重要事項説明とは?

説明

不動産取引で業者が仲介する場合には、取引に関して大事な点を説明する義務があります。

重要事項説明と呼ばれるものです。

重要事項説明とはいったいどのようなものかをこの記事では解説してます。

重要事項説明はいつおこなわれる

時計重要事項説明は必ず契約締結する前にしなければいけないと宅地建物取引業法決められています。

重要事項説明を聞いて納得できない場合には、契約しないこともできます。

ただ契約直前に重要事項説明をすることが多いので、しっかり聞かずにあとからトラブルになることもあります。

大事な説明なので事前に重要事項説明書をデータかなにかで送ってもらっておくといいでしょう。

送られてきたデータは重要なのでしっかりと管理しましょう。

聞きたい点を事前にまとめておければ重要事項説明の時に疑問点を聞くことができます。

重要事項説明はどのように

ペン重要事項説明はどのように行われるかまた説明時期はいつかなどを説明します。

また違反があった場合にはどうなるかも説明します。

重要事項説明はどこで

場所についてはどこでも構いません。

事務所でなくても自宅などでも問題ありません。

喫茶店などで説明をしてもらうのも問題ありません。

IT重説も可能になっているので、インターネットを活用して説明を受けることが可能になりました。

IT重説ではわざわざどこかに行く時間は必要なくなりました。

重要事項説明はだれが

重要事項説明は宅建士が行います。

宅建士とは宅地建物取引士のことで国家試験に合格し登録している者です。

宅建士でないと説明してはいけません。

説明するときには宅建士証を相手方に見えるように提示しなければいけません。

重要事項説明は売買であれば買主、賃貸であれば借主に対して行う必要があります。

交換の場合には両当事者に説明を行う必要があります。

代理人が聞くことは可能ですが、委任状などを用意しましょう。

重要事項説明はどうやって

35条書面(重要事項説明書)を交付して説明をしなければいけないと規定にあります。

媒介などの依頼を受けていない場合には説明義務はありません。

契約書は37条書面といいます。

IT重説の場合には、事前に重要事項説明を交付しておく必要があります。

2022年民法改正で重要事項説明書についても電子化が法律で認められています。

従来の書類ではなくデータで交付する方法が可能になりました。

データを作成してメールなどに添付することが可能になり、業務が効率化の措置がとられました。

また宅建士の記名押印も不要になりました。

電子契約
【宅建業法改正】印紙税を節約できる売買契約書が電子契約が可能に今まで不動産の契約書は印紙が必要でした。 電子契約では印紙が不要になります。 不動産は高額な取引なために印紙税も高額になって...

重要事項説明に違反があった場合

重要事項説明に違反があり被害がある場合には、損害賠償請求になります。

十分に説明を受けてない場合もしくは調査不足など証拠が必要になってきます。

違反があれば業者はもちろん行政処分の対象になります。

過去の事例からでは契約は成立して損害賠償責任でとどまるケースが多いです。

重要事項説明がしっかり実施されていなくしっかりとした判断ができなくて契約取消しと主張したいところですが実際には無効や取消しになったケースは少ないです。

無効や取消しになったケースは「詐欺」や「錯誤」があった場合には無効や取消しになりますが立証するにはかなり難しいでしょう。

詐欺などの有無が重要なポイントになります。

重要事項説明書の概要と注意点

チェック

物件契約での説明と注意点を書いていきたいと思います。

収益物件購入の契約は、不動産屋からの購入になることが大半だと思いますので、その場合に関しては売買契約書と重要事項説明書は必ず捺印することになるかと思います。

重要事項説明書は当該不動産を購入する点での重要な部分について記載されているものです。

そこで売買契約書と重要事項説明書は重複する点が多いので重要事項説明書を重点的にチェックしましょう。

不動産投資セミナーとかは、不動産屋が開催してたりタッグを組んでるケースもあるので、あまり重要事項説明書部分についてのセミナーは少ないかと思います。

重要事項説明書は非常に重要なので、本当は考えられるリスク全部をしっかり書くべきですが、あまり書くと多すぎて不動産ってやっぱ難しそうとなるので重要かつトラブルになりやすい部分だけをまとめて書いておきます。

まずは全部は覚えず大きなポイントを押さえて検討する物件がでてきたらわからない部分がでてきたらチェックするイメージでいいかと思います。

不動産の表示

土地

土地の取引は、登記簿面積によるものなのか実測面積よるものなのか、登記簿では330㎡だったが測量したら300㎡しかなかったなんてこともあります。

実際には登記簿面積のほうが小さいことはよくありますので売却するのであればきっちり測量するほうがいいでしょう。

登記簿面積
・法務局に登記されている面積

実測面積
・測量に基づいた面積

あとから不動産屋に実際よりちいさな土地だから一部返金してくれと言っても重要事項説明書に登記簿面積による取引になっていたら返金してもらえません。

土地の権利は所有権であるかどうか?
※利回りがいいからといって借地権だと地代を支払う必要があります。

建物

建物の取引は、収益物件を購入となれば構造部分で増改築がないかどうかぐらいですね。

増築時に未登記であれば違法物件になってる可能性もあるので要注意にはなりますが、ローンを組む場合は金融機関もチェックしてますので金融機関が教えてくれると思います。

増築によって建蔽率や容積率がオーバーになってしまっていることはよくあります。

占有について

売買契約時の占有について なんか違う人に不法に居座ってみたいに勘違いしそうですが

収益物件の場合には、空室で売却する場合と入居者が入居のままの売却があります。

入居者が入居されたままでの売却の場合は、占有について記載があります。

だいたいのケースでは重要事項説明書の記載欄が小さいので別途○○付け賃貸借契約に基づくなどのように書かれていたりします。

ここで注意点はその賃貸借契約の契約内容が重要です。

必ず賃貸借契約書の契約内容をチェックしましょう。

事前に賃貸借契約書の確認が必要です。

賃貸借契約が所有者に不利な契約になっていないかを見ておく必要があります。

事前に入居者との賃貸契約書は必ずチェックしましょう。

登記簿に記載された事項

甲区欄

所有権にかかわる権利が有りの場合
仮登記や差押えの登記がないかどうかあれば抹消されていなければ危険なので要注意。

競売物件を購入したいという人は登記簿は理解できるようにしておきましょう。

乙区欄

所有権以外の権利
収益物件の場合はだいたい売主がローンを組んでる場合が多いため、抵当権が設定されているかケースが多いかと思いますが特に問題はないです。

抵当権を抹消してもらいましょう。

もし事務所を借りる場合には、少し気にかけてください。
所有者が金融機関に返済できなくなった場合は競売にかけられたりして、最悪の場合には退去させられる場合もあります。

保証金を預けていた場合には返還請求はできますが、実際競売になってしまったら保証金がすでに無くなっている可能性は高く請求しても返ってこない可能性があります。

抵当権が設定されていることを知って借りたということになりますので注意しましょう。

登記簿を見れるようになると、売主がいくらぐらいのローンが残っているかが把握でき購入金額の交渉がしやすくなるメリットはあります。

法令に基づく制限

この部分では、本来はすべてチェックする必要がありますが重要部分だけ記載しておきます。

この部分は宅建士も買主に資料を渡すだけのパターンもあるので購入するときにはちゃんと理解するようにしましょう。

収益物件購入の場合、最低限理解してほしい項目から説明します。

どんな建物が建てられるかは将来的に建て直しを検討する際に、収益に関わる事項なので要チェックです。

売却するにも次の購入者も収益用地として検討するケースになる可能性が高いので、中古物件で建物がもともとあるし大丈夫という考えは危険です。

法令上の制限には都市計画法、建築基準法とその他で制限される法が記載されています。

都市計画に基づく制限

収益物件の場合には、ほぼ都市計画区域内でのことになるので、都市計画の区域内の説明をします。

区域区分

都市計画区域内には市街化区域、市街化調整区域、区分されていない地域とあるが、市街化調整区域の場合には、さまざまな問題があるので市街化調整区域でないかを見ておきましょう。

市街化調整区域だと原則、住宅は建築できません。

市街化区域
・市街地
10年以内に市街化になる地域
市街化調整区域
・市街化が進まないようにする地域

都市計画道路

計画道路があるかどうかです。

将来的に立ち退きになる可能性があるかも知れないので確認しましょう。

市街地開発事業

計画的に街づくりを行う事業が書かれています。

土地区画整理事業などもし記載があればこちらも将来どうなるのかを確認しましょう。

建築基準法による制限

用途地域

用途地域とはその地域にどんな建物が建てれるかを定めてます。

下記の13種類ありますのでイメージだけでもわかればいいかなと思います。

第一種低層住居専用地域
・閑静な住宅街で2階建て多い
山の上の住宅街など
第二種低層住居専用地域
・閑静な住宅街です
山の麓の住宅街など
第一種中高層住居専用地域
・3階建が建っている地域
斜線制限の影響が受けやすい地域
第二種中高層住居専用地域
・低層マンションがあったりします
第一種住居地域
・住居環境は守りますが
大きな店舗があったりする。
第二種住居地域
・住居環境は守りますが
一種より緩和されています。
田園住居地域
・農業用地と低層住居が混在
準住居地域
・道路の沿道の住宅など
近隣商業地域
・商店街みたいなところ
商業地域
・駅周辺や大通り沿い
準工業地域
・町工場があるところ
工業地域
・道路沿いの製造工場など
工業専用地域
・海に近い工場だけのところ

地区・区域

地区や区域において制限が定められています。

下記以外にもありますがどのような制限があるかなどは調べておきましょう。

防火地域・準防火地域
・建物の構造などの制限
高度地区・高度利用地区
・高さや容積などの制限
特定防災街区整備地区
・種類、形態などの制限
景観地区
・形態、意匠などの制限
風致地区
・緑地の保全制限

建蔽率(けんぺいりつ)

土地の面積に対して、建築可能な面積。
※色々な緩和条件がありますが、一般的に多いのは角地なら10%緩和されます。

300㎡の土地 建蔽率60%
300㎡×60%=180㎡
180㎡までの建築面積が可能

容積率

土地の面積に対して、延床面積の割合。

300㎡の土地 容積率300%
300㎡×300%=900㎡
100㎡の建築面積に9階建てまで可能

高さ制限

建物の高さの上限を制限する項目
他の土地の日当たりのことが記載されています。

斜線制限に関しても記載されているのでチェックが必要になります。

よく建物の上層部分が斜めになっているのは斜線制限のためである。

300㎡の土地 建蔽率60% 容積率300% 高さ制限15m
※1階の高さを3mと仮定する場合

いったいどんな収益物件なら建てられるか?

答えは建築面積180㎡の5階建

上記のような土地300㎡ 建蔽率60% 容積率300% 高さ制限15mに対して、建築面積150㎡の3階建のアパートが建っていたとします。

まだまだ建蔽率や容積率に余裕がある物件なので将来性として価値が高く売りやすい物件になります。

この建築に関する部分で建蔽率がオーバーして建築されていたり容積率がオーバーされている物件などもありそれは違法物件になります。

違法物件の場合には融資がなかなかつかないことが多いので気をつけましょう。

敷地と道路との関係

ここでは敷地と道路との関係ですが、内見したとき道はわかるからと思っていてたら駄目です。

実際の目で見る道路は、建築基準法の道路でないと意味がありません。

建築基準法には接道義務があり建築基準法の道路なのかの確認が必要です。

幅員(道路の幅)4mの建築基準法上の道路に2m以上接した土地でなければ建築できません。

見た感じでは通れるから道路だと思っていても他人の土地を通らないといけない土地であったり接道義務を満たしていない土地に建物が建っていたりはよくあるので注意しましょう。

建築基準法上の道路でよく2項道路、位置指定道路などは私道ですが建築基準法上の道路になります。

林道とか他人地(他人の土地)だった場合は接道義務を満たしてないので再建築不可(建て直しができない)になります。

私道の変更または廃止の制限

私道は本来所有の土地であるが勝手に変更されたら困る場合に制限がある。

壁面線の制限

道路境界線から後退しなければいけない制限

敷地面積の最低限度

敷地分割などで最低の面積の制限
※大きな土地を将来戸建販売業者に売却する場合にはチェックしておくほうが良い

外壁後退

敷地から最大1.5m後退してから外壁にしなければいけない制限
※低層住居地域にある制限

日影による中高層の建築物の制限

冬至の日を基準として日が当たらないことがないようにする制限

建築協定

民間で取り決めた建築物等の約束

都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限

土地区画整理事業に基づく制限

土地区画整理事業がある場合には将来、区画整理される計画があり自分の土地が減る場合などもあるのでその場合にはどうなるのかなど把握する必要があります。

換地
・土地の減った分を土地区画整理事業が終わったあとに代替えの土地
精算金
・価値が減った分を金銭対価で精算される場合のお金

古都保存法

代表でいえば京都などではあるが指定や規制が厳しいと改装などできない場合もある。

都市緑地法

緑化率などを規制される地域

景観法

外観などに規制される地域

文化財保護法

立て直しの際に、文化財など見つかった場合には長い期間、建て直しができなかったりする場合もある。

要点まとめ

法令上の制限の項目に関しては非常に多いです。

購入者は難しい言葉ばかりでわからないからあまり聞いてないケースが多いです。

また宅建士も余計なこと言って取引がキャンセルになりたくないので、聞かれなければ詳しくまで説明しない場合が多いです。

最低限の説明は宅建業法で決められているのでしてるかとは思います。       

私道に関する負担等に関する事項

建築基準法の接道義務を果たすために、自己所有の土地から道路として提供することが書かれています。

消防車や救急車が狭い道だと入っていけないから、1950年に建築基準法で接道義務ができました。

飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況

ここでは、インフラ関連の設備状況が書かれています。

ガスは都市ガスなのかプロパンなのか、あとは排水部分ぐらいを見ておけばいいかと思います。

プロパンの場合には設備貸与などの契約がされていないかをチェックしましょう。

電力は自由化になっているのでどの電力会社とどのような契約をしているかの確認もしておきましょう。

石綿使用調査の内容

アスベストのことです。

万一アスベストがあると除去にかかる金額は多額になるケースがあるので気をつけましょう。

もしアスベストがある場合には除去にかかる見積もりは先にとっておきましょう。

1956年~1975年ぐらいに使われていたので築古の物件を購入する場合には注意しましょう。

耐震診断の内容

1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物を旧耐震基準といいます。

旧耐震基準の物件は融資が非常に難しい金融機関が多いです。

その旧耐震の物件に耐震診断がされているかの内容が書かれています。

耐震補強工事も先に見積もりをとっておきましょう。

その他

建築確認・検査済証

建築物を建てる前に建築確認申請をします。

その後、建築物を検査してもらい検査済証をもらいます。

建築確認申請はしているが、検査済証がない物件もあります。

違反建築ですが収益では収益性をよくするためによく見かけます。

検査済証の再発行はないので購入した場合には、紛失しないように気をつけてください。

契約不適合責任

契約内容に適合しない目的物を引き渡した場合の売主責任です。

雨漏りなどがあった場合に売主に請求できるかどうかが書かれています。

売主が宅建業者なら2年未満の契約不適合責任は負わないことにする特約は無効ですが、売主が一般の方なら買った物件に万一なにかあった場合はどうなるか確認しましょう。

特約事項

重要事項説明書の項目にないことが特約事項として書かれていますのでここはどんなことが書かれているかは必ずチェックする必要があります。

また難しく書かれていたりしてよくわからない場合には、宅建士に聞いて必ずわかるまでは契約書に捺印しないでください。

最後に

花火重要事項説明書は素人には非常にわかりにいです。

法令上の制限などは、詳細までの説明義務はないので正直わからないままの人も多いと思います。

宅建士は弁護士や税理士などとは違い、不動産業者に所属しています。

購入者に対して不都合なことはできるだけサラッと流すように説明する傾向にあります。

はじめは誰か詳しい第三者に見てもらうぐらい慎重になったほうがいいかと思います。