不動産投資をするなら失敗しないためにもまず将来物件が売却できるのかを購入する前に考えましょう。
不動産投資をする場合には、多くの人が融資を利用します。
購入する物件が、将来物件を買いたい人がいた場合に融資がつかなければ売却できない可能性もあります。
はじめての不動産投資する場合には、将来投資する収益物件が売却できるのかも考えておきましょう。
この記事では、どのように出口戦略をしたほうがいいのかを解説しています。
不動産投資の出口戦略とは
不動産投資では売却するもしくは相続するなど出口を物件購入する前にきめておくことでリスクを減らすことができ成功する確率をあげます。
不動産には2つの収益があります。
①家賃収入(インカムゲイン)
②売却益(キャピタルゲイン)
収益と運営する上でかかるコストを計算しながら、何年後にはいくら以上で売却すれば損失がでないかを把握しておくことが重要です。
不動産投資をはじめて売却する気はないから出口は関係ないと考えるのではなく、将来なにがあるかはわかりません。どんな不測事態が起こってたしても対応できるように投資シュミレーションしておくことが大事です。
売却するには融資期間も把握しておくこと
不動産投資は融資を利用して購入することが多いです。購入した物件の融資期間がどれくらいなのかを把握することで売却できる金額を逆算することが可能です。
融資期間が長くとれる物件であればあるほど利回りが低くても売却しやすいです。
融資期間は建物の耐用年数で計算
融資期間は基本的に建物の法定耐用年数から計算している金融機関が多いです。
建物の法定耐用年数とは簡単に『建物が通常に使用したらこれくらいの期間は使用できる』という年数を法で定めています。
建物の構造によって年数が変わります。
・軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm以下の場合)…19年
・木造…22年
・重量鉄骨造…34年
・鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造…47年
上記の法定耐用年数から築年数を引いたのが残法定耐用年数です。
例 木造アパート築10年だとしたら、
22年(法定耐用年数)-10年(築年数)=12年(残法定耐用年数)
残法定耐用年数が基本的な融資期間になります。
それに経済的な耐用年数などを加味して金融機関は融資年数を決めていますが、出口戦略には基本的な融資期間から判断しましょう。
融資期間が長ければ売却しやすい
融資期間が長ければ長いほど不動産投資はキャッシュフローが増えます。
毎月のキャッシュフローのプラスが多ければ多いほど購入したいと思う人は多いのです。
木造アパートの築10年or築15年の売却する場合の計算してみましょう。
利回り12% 3,000万で売却するとしましょう。
融資期間は12年 金利2%で購入となれば毎年の返済額は 約281万円になります。
毎年の家賃収入が360万円-約281万円=約79万円
利回り12% 3,000万で売却するとしましょう。
融資期間は7年 金利2%で購入となれば毎年の返済額は 約460万円になります。
毎年の家賃収入が360万円-約460万円=▲100万円
融資期間が短ければキャッシュフローが赤字になってしまうのでなかなか売却することが難しくなるでしょう。
物件の種類別の出口戦略
不動産投資する物件の種類によってとるべき出口戦略が異なります。
物件の種類別に出口戦略を紹介します。
築古戸建の場合
残法定耐用年数がすでにないことが多いので、利回りは15%ぐらいでないと売却しにくいでしょう。
築古戸建の場合は、住みたい人に売る場合でも住宅ローンはなかなか対応してくれないのです。
また融資自体が難しいことから売却金額についてもできれば現金で購入を検討できる範囲の500万以内が売れやすいです。
あとは区分マンションと違い土地があるので解体して土地だけの売却も視野に入れておきましょう。
利回り15%以上で売るか土地だけで売却するかどちらがメリットがあるかで判断しましょう。
区分マンションの場合
マンションの場合、構造は鉄筋コンクリート造もしくは鉄骨鉄筋コンクリート造がほとんどなので残耐用年数から出口戦略を考えておきましょう。
残耐用年数がなければ、利回りは15%ぐらい
残耐用年数が10年~15年の場合は、表面利回り10%ぐらい
残耐用年数が16年~20年の場合は、表面利回り8%ぐらい
またワンルームなどでなければ相続することも出口としてのひとつです。
マンションの場合は、角部屋などのなにか特徴のある部屋は売却先が比較的見つかりやすいです。
マンションの場合は住みたい人が購入する場合には住宅ローンが利用できますので高く売れる可能性もあります。
売却してもいい価格は早めに決めておいて空室になる前に、事前に不動産屋には空室になったらこの金額であれば売却してもいいと依頼しておきましょう。
タワーマンションの場合
家賃収入というより売却益を考えた不動産投資家が多いです。人気のあるタワーマンションはたしかに新築時より価格があがったりもします。
購入する金額よりか相続税の評価額が低いので相続対策などにも使われます。
現金で相続するよりタワーマンションを購入して相続するほうが相続税が安くなるので富裕層の投資家は不動産投資をつかって相続対策をしたりしています。
いくらなら売却するということを不動産会社に伝えておきましょう。
最上階などの特別な部屋であれば相場に関係なく売れたりします。
一棟アパートの場合
売却したり相続したりもしくはアパートを解体して土地にしてから相続と売却にわけて考えたりと一棟アパートはさまざまな出口戦略を考えることができます。
土地が広いケースが多いのでさまざまな出口を考えることが可能です。土地を分割して一部は売却するなども考えられます。
アパートの場合は木造での建築が多いので残耐用年数がすぐになくなってしまいますので長期保有しても大丈夫な立地を選ぶことが大事になります。

一棟マンションの場合
一棟マンションの場合は鉄筋コンクリート造もしくは鉄骨鉄筋コンクリート造が多いので比較的残耐用年数が残っていることが多いでしょう。
残耐用年数が10年以上ある時に売却するのがいいです。
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は解体費用は高くなるので、解体する資金がない場合には、残耐用年数が10年以上残っているうちに売却しましょう。
残耐用年数が10年以上の時に表面利回りが10%ぐらい
長期的にどうしても保有しておきたい場合であれば、年数がたてばいつかは大規模な修繕費用がかかりますので出口戦略と同時に修繕計画も考えておきましょう。
購入してから5年以降で出口戦略を計算
物件を購入してから5年後以降で出口戦略を考える理由としては、購入時の諸経費と売却時の諸経費を考えると5年ぐらいの家賃収入(キャピタルゲイン)ないと、投資としての利益がでにくいのと税金が5年以上の保有で安くなるからです。
購入と売却の諸経費概算
収益物件を購入や売却するには、物件価格とは別に諸経費が必要になります。
購入時の諸経費は概算で約7%~約8%、売却時の諸経費は概算で約3%かかります。合計で約10%~約11%と覚えておいてください。
購入時は、登録免許税、取得税、仲介手数料が必要で売却時は仲介手数料が必要になります。
5,000万円の収益物件を購入するには、諸経費を含めると約5,350万円の費用が必要になります。
買ってすぐに売却するには諸経費を考えると、最低でも5,500万円以上で売らないと損失がでます。
5,000万円のアパート 利回り7% 金利4%融資で購入
1,050万円(家賃収入)-600万円(利息支払)=450万円
※金利計算は概算になります。
1,750万円(家賃収入)-1,000万円(利息支払)=750万円
※金利計算は概算になります。
上記はあくまでも概算ですが、その他管理コスト、税金などを考えると5年以上保有しないと利益はなかなかでにくいのです。
5年超えるの保有での税金
不動産売却時には売却益に対しての税金で短期譲渡所得と長期譲渡所得があります。
土地・建物の所有期間によって税金が変わります。
保有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 | |
短期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
※令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて納付する必要があります。
短期譲渡所得と長期譲渡所得では約20%も税金がかわるので、長期譲渡所得の5年を超えるときからの出口戦略を考えましょう。
M&A
M&A(法人売却)も活発な時代なので、資産管理会社を設立してその法人で不動産投資して将来会社を売却するという出口もあるのでそちらも出口戦略のひとつとして考えておきましょう。
会社の株式を売却した時の税金に関しては20%になります。
個人株主が会社の株を売却した場合
・所得税15%+住民税5%
※別途、復興特別所得税は必要
最後に
不動産投資は買う前に出口戦略をしっかり考えておくことでリスクヘッジになります。
残耐用年数を考えながらいつぐらいならこれぐらいで売れるかなと想定しておくことは非常に大事です。
空室がでてから慌てて売却するのでなくこの時期ならこの金額で売れば損失はないと把握しておきましょう。
不動産投資はリスクヘッジがきっちりとできれば大きな失敗はしないです。
購入時に収入面だけを考えていては、大きな失敗しますのでしっかりと計画しておきましょう。