物件選び

購入した収益物件はいつごろが売却時期なの?

収益物件を購入したあとは、毎月の家賃が入ってそこから借入を返済していきます。

いつぐらいに売ればいいのか迷うことがあるかと思います。

この記事では収益物件の売却するタイミングや売却の流れなどを解説しています。

目次

収益物件の売却するタイミング

椅子いつくかの売却するタイミングを紹介していきたいと思います。

キャピタルゲイン(家賃収益)で儲かっていても、売却損(インカムロス)しては、不動産投資した意味がありません。

キャピタルゲインもインカムゲインもあってこそ不動産投資の魅力です。

耐用年数が10年未満になる前

耐用年数とは税法上で決められています。

建物の構造によって下記のように法定耐用年数が変わります。

・軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm以下の場合)…19年
・木造…22年
・重量鉄骨造…34年
・鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造…47年

上記の耐用年数に築年数を引いて、10年未満にならない時がひとつの売却のタイミングである。

木造アパートで築10年の場合には、

22年(法定耐用年数)-10年(築年数)=12年

12年なので売るタイミングのひとつです。

なぜなら不動産投資は融資利用での購入者が多いので耐用年数が残っていれば、融資期間も長くなり購入者にとって買いやすいのです。

大規模修繕予定があるならその前

区分マンションでは、大規模修繕が計画されている場合があるので確認する必要があります。

大規模修繕によって修繕積立金が足りない場合には、一時徴収金が発生する場合もあるのでその前に売却しておくのもひとつのタイミングである。

築年数が20年ぐらいの時

1棟収益物件の場合には築年数が20年ぐらいになると、さまざまな箇所の修繕が必要な時期になってきます。

エレベーターがあれば部品交換などもなくなってくる時期なので、万一故障などした時の費用負担は大きくなります。

また外壁に関しても、築20年ぐらいで劣化してくるので外壁の修繕も必要な時期になります。

屋上防水なども築20年ぐらいでしないと雨漏りする可能性がでてきます。

大きな規模の1棟収益物件であれば、結構な金額になるので修繕するか売却するかを考えるタイミングであります。

入居者がいるときや満室経営ができている時

入居者がいるとき、満室経営ができている時は売却するか悩むときです。

しかしいざ空室になってからでは、売却金額が下がってしまう非常に高いです。

なぜなら空室であると購入者の融資金額が少なくなってしまうことがあるからである。

入居者がいるから満室経営ができているから売りたくないと思うのではなく、入居者がいるから満室経営ができているからこそ売却するタイミングのひとつであります。

路線価が上昇しているとき

路線価とは土地につけられる公的な価格の一種毎年7月1日に発表されます。

相続税の評価額は路線価をもって算出しています。

路線価が上昇している時は、高値で売れる可能性があるので売却するタイミングであるともいえるのです。

減価償却期間が終了するとき

減価償却は耐用年数から算出されます。

法定耐用年数が残っている場合には、残耐用年数+経過年数×0.2で一般的には償却期間を決めております。

鉄筋コンクリート造築20年であれば、残耐用年数27+20×0.2=31年

31年後には、減価償却期間が終了してしまいます。

減価償却費として経費にできなければ、税金が急に増えるので売却するタイミングのひとつです。

デットクロスをむかえたとき

デットクロスを迎えたときは売却するタイミングのひとつです。

デットクロスとは、ローンの元金が減価償却費を上回ったときです。

ローンの元金は、経費ではないためにデットクロスを超えるとキャッシュフローが悪くなってしまいます。

法人であれば、利益がでているがキャッシュがない状況になるので黒字倒産しかねないので売却時期のタイミングのひとつです。

計算例を見てみましょう。

家賃収入1,000万円 管理費500万円 元金返済400万 減価償却200万円

家賃収入1,000万円-管理費500万円-元金返済400万円=100万
※管理費に借入利息含む

上記の場合は、お金は100万円残っています。

利益の計算は

家賃収入1,000万円-管理費500万円-減価償却200万円=300万円

利益は300万円になります。利益から税金を支払ったらお金が残らなくなってしまいます。

法人ではとくに減価償却費を計算しないで不動産投資すると黒字倒産してしまうのでデットクロスは物件売却タイミングの重要なポイントにもなります。

売却しないほうがいい時期

PC

収益物件には売ってはいけないタイミングもありますので、説明していきます。

個人であれば保有期間が5年以内

法人でなければ収益物件を買ってすぐには売らないほうがいいでしょう。

短期投資で急激な値上がりを予測して購入した物件でなければ、基本的には5年超えると譲渡所得にかかる税金がかわってきますので5年を超えてからの売却のほうがいいでしょう。

所得税が大きくかわり住民税もあがってしまいます。

短期譲渡所得は約40%に対して長期譲渡所得は約20%と大きく変わります。

株価があがっているとき

株価や景気が上向きの時には、売却時期ではありません。

収益不動産に関しては、株価があがったあとに価値があがってきます。

景気が良くなったからといって家賃はすぐにはあげれません。

景気がよくなってからある程度時間がたってはじめて家賃があがります。

不動産の価値は株価があがってからある程度のしたあとにあがってきます。

なので景気が良くなって不動産に反映してきたときが売るタイミングです。

逆に株価が下落しはじめても売却するタイミングです。

株価が下落してもすぐに不動産の値がさがることはありませんがじわじわと下がってくるでしょう。

決算期1ヶ月前ぐらい

法人の決算期前のひとつの売却するタイミングです。

法人は3月決算が多いので年明けぐらいから売り出して2月ぐらいに売却するイメージになります。

北海道など積雪がある地域であれば9月とかの決算期に向けたほうがいいかも知れません。

雪の影響で内覧することができないと思います。

法人の場合には消費税があるので決算期前に税金対策で購入をするタイミングなのです。

課税事業者の不動産投資家なども決算前に税金対策で購入することもあります。

大きな消費税を支払うのであれば、建物を購入して課税仕入を増やしたいと思うときなのです。

収益物件を高く売る方法

椅子

売却する時期がわかれば、すこしでも高く売りたいと思うでしょう。

高く売るにはある程度、前もって準備が必要になります。

収益物件を専門的にあつかっている業者に依頼

収益物件を専門的にあつかっている業者は購入希望者を多く抱えています。

多くの購入希望者に収益物件を紹介できることで高く売れる可能性はあがります。

不動産業者にも取扱い物件がさまざまありますので、なにを専門的にしているかを調べて売却依頼しましょう。

複数の不動産業者に依頼

収益物件はレインズに登録せずに売却するほうが基本的には高く売れる傾向です。

1社の業者に依頼するとその業者のお客様にしか紹介しない可能性があります。

収益物件は物件価格が高額なために仲介手数料が高くなります。

業者は両手仲介したくて物件を囲い込みする可能性もあります。

収益物件を売る時には、複数の業者に一般媒介契約で依頼するほうが多くの購入希望者に紹介され高く売れる可能性があがります。

入居者の賃料を上げておく

収益物件の場合にはどうしても表面利回りを基準に売却価格を決めることが多いです。

収益物件の価格は、収益性の利回りがポイントになります。

もちろん物件の種別や人気エリアかなども考慮します。

ただ収益物件なので運用できないと意味がありません。

表面利回りがあがれば売却価格もあげやすいです。

もし入居者の中に安いままの賃料で貸している場合などがあれば契約更新のときに相場に合わせてあげてから売却するほうが高く売れます。

たとえば収益物件が20部屋あったとして1部屋家賃を2,000円あげることができたとします。

年間にすると48万円の賃料収入があがります。

利回りを10%だとしても売却価格が約500万円あがります。

入居者の利便性をあげる設備投資などしてしっかり利回りをあげてから売却するほうが高く売れる可能性があります。

値引き交渉されると思って売却価格を設定する

すぐにでも売らないといけない事情がなければ、売りたい金額より高めの売却価格で売り出ししましょう。

売りたい金額に対して1割~2割程度あげてから売り出ししましょう。

あまり高く設定すると逆効果になるので注意しましょう。

収益物件の売り出し数が少ない時

収益物件の売り出されている数が少ない時は、高く売れる可能性は高いです。

市場に収益物件の売り出しが少ない時は時々あります。

デットクロスを迎えて収益物件の入れ替えを検討している人は、収益物件を購入しなければいけません。

ローンの返済などでどうしても売却しないといけない理由の人もいれば、どうしても買わないといけない理由がある人や業者もいるのです。

収益物件の買取

握手

不動産業者によっては買取してくれる業者もいてます。

買取のメリットとデメリットを紹介していきます。

収益物件買取のメリット

購入者を探さなくていいので早期売却が可能な点はメリットです。

また業者に買い取ってもらうので仲介手数料はいりません。

修繕などはせずにそのまま売却できます。

早めに資金が必要な場合にはメリットです。

不動産業者がリフォームして販売するので、リフォーム費用がない場合にでも売却できます。

収益物件買取のデメリット

相場価格より安くなってしまう点がデメリットになります。

またすべての収益物件が買い取ってくれるわけでもありません。

より高く売りたい時には買取は不向きでしょう。

買取でなくてもすぐに売れるような物件でしたら損失になってしまいます。

収益物件の売却のメリット・デメリット

部屋

収益物件を売却にはメリットとデメリットがあります。

売却のメリット

まずはメリットをいつくか紹介していきます。

リスクがなくなる

収益物件には、金利上昇や老朽化による修繕コストが増加また世帯数減少での空室率の増加などさまざまなリスクがあります。

金融機関に対しての返済金額が多く残っている場合にはリスクは非常に高いです。

売却すればリスクからは解放されるでしょう。

現金化できる

借入残高より高く売れることができれば現金化することができます。

現金化することでさまざまな選択が可能になります。

別の収益物件の頭金にしてさらに収益物件の保有数を増やす。

株式投資などの資金にする。

現金化すれば、さまざまな選択肢ができるでしょう。

不動産投資と他の投資と比較してもいいかも知れません。

時間が必要なくなる

収益物件を所有している時には入金確認や帳簿付また修繕の判断とさまざまな時間が必要です。

収益物件を売却すればそれらの時間は必要なくなります。

他のことなどに集中したいオーナーにはメリットになります。

ご自身が他の事業などされている場合には他の事業のほうが利益が見込めると予想されるのであれば思い切って売却することも検討しても良いかも知れません。

売却のデメリット

メリットもあればデメリットもあります。

次にデメリットをいくつか紹介していきます。

家賃収入がなくなる

リスクがなくなるとともに家賃収入もなくなってしまいます。

今まであった収入がなくなってしまうので別の投資などをしなければ今までの収益は確保できません。

複数物件を所有しているのであればリスクの高い物件は売却してリスクの少ない物件を残すようなことはできます。

売却コストがかかる

収益物件を売るにもコストが必要になります。

大きなコストとしては仲介手数料と税金です。

両方ともおおきな金額になるのでしっかりチェックしましょう。

売却コストを計上したうえで売却金額を設定しましょう。

買ったときより安くなってしまう

収益物件は買うときに高く買ってしまっている場合や需要がなくなるエリアなどの物件を購入している場合であれば、売却する時に大幅に安くなってしまう可能性もあります。

最悪の場合では、家賃収入では儲かっていたが売却損で損してしまいトータルで見たときには損するケースもあります。

長い間の投資がまったく意味がなかったことになる可能性もあります。

売却にかかるコスト

コスト

収益物件を売却するにもさまざまなコストが必要になります。

そのコストをしっかり計算した上で売却しなければ、あとから資金不足になってしまうかの性もあります。

売却益に関する税金

収益物件を売却すると個人であれば譲渡税が必要になります。

法人であれば利益になるので法人税などに影響します。

個人であれば短期譲渡所得と長期譲渡所得で税率が変わってきます。

売却益の計算は帳簿上での計算になるので減価償却が多くされている場合には売却益が増えます。

不動産投資をするうえでは税金の知識は必要になります。

消費税

課税事業者であれば、売却したときには受取消費税が発生しますので消費税を納める必要があります。

土地は非課税ですが建物には消費税がかかりますので注意しましょう。

仲介手数料

不動産会社に依頼して売却する場合には仲介手数料が必要になります。

こちらも購入したときと同様に物件価格が大きいので高額なコストになることが多いです。

金融機関の違約金

金融機関によっては一括返済に対して違約金を設定していることもあります。

違約金に関しても高額になることが多いので売る前には違約金があるのかを確認しましょう。

収益物件の売却の流れ

フローいざ売却しようと思ってもさまざま準備しておく必要があります。

収益物件の売却の流れを説明します。

準備しておきましょう

収益物件を売却しようとするのであれば、まずは下記のような書類など準備しておく必要があります。

・権利証
・入居者との賃貸者契約書
・レントロール
・建築確認済証
・修繕履歴
・鍵
・各業者との契約書一式
・評価証明
・その他購入時に受け取った書類

不動産業者を探す

次に収益物件を専門的にあつかっている業者をいくつか探しましょう。

3つぐらいの業者が見つけれたらベストです。

管理会社や金融機関も購入希望者を紹介してくれたりします。

査定を依頼する

査定に関しては一括査定サイトなどを使うとさまざまな業者から一気に電話がかかってきて困惑してしまう可能性があります。

査定自体は基本的には無料です。

物件査定などは大手の三井のリハウスなど一社でいいでしょう。

査定なのでその金額で売らないといけないわけでは決してありません。

机上査定

過去の取引事例などのデータをもとに査定を行います。

簡単な調査で査定額を決定します。

とりあえずいくらぐらいかだいたい把握したい場合には机上査定で問題ありませんが、実際に売却となると訪問査定してもらう必要があるでしょう。

訪問査定

実際に業者が現地にきて物件を見て査定を行います。

机上査定を基礎ベースにして資産価値を決めます。

物件の状況や状態また周辺などの影響などさまざまな点でプラスとマイナス両方の側面を見て査定します。

実際に売却したい場合には、訪問査定してもらってより精度の高い金額を把握しておいたほうがいいでしょう。

売却依頼を受けたいために高めの査定する業者もいるので要注意です。

業者が見つかれば媒介契約を締結する

収益物件の売却であれば、複数の業者に依頼できる一般媒介契約でいいかと思います。

専属専任媒介契約や専任媒介契約などひとつの業者しか選べないのでは高く売れる可能性が低くなってしまいます。

一度、専属専任媒介契約や専属媒介契約を締結すると3ヵ月は変更できませんので業者をチェンジしたくても3ヵ月はできません。

また専属専任媒介契約の場合は売主が直接購入希望者を見つけることもできません。

募集開始

購入希望者の募集開始になります。

一般媒介契約ではレインズに登録義務はないので収益物件の場合には掲載しないまま売却活動する業者が多いでしょう。

ポータルサイトに掲載して購入希望者を募る場合もありますが、売り出しスタートはレインズやポータルサイトに掲載しないままで募集するほうが高く売れる可能性があります。

レインズやポータルサイトに掲載されている収益物件はどうしても売れなかった物件だから掲載しているというイメージがあります。

売却依頼してインターネット上に物件がでてなくても問題ありません。

もうひとつの理由には売却するのが入居者に知られてしまうのもあってインターネット上に物件を掲載しないこともあります。

区分の分譲マンションで空室であれば住宅ローンなどを利用して購入する人もいるのでその場合にはレインズに掲載したほうがいいでしょう。

居住用の資産の場合にはレインズに掲載したほうがいいでしょう。

購入希望者との条件交渉

購入希望者が見つかれば買付証明書をもらい条件についての交渉になります。

金額だけではなく引き渡し日などの条件などさまざまな交渉について検討していく必要があります。

管理会社などは現在の契約のままなのかそれとも新しい管理会社に変更されるのかなども聞いておきましょう。

契約締結

条件があえば売買契約になります。

手付金などを受領し売買契約になります。

契約後から引き渡しまでの間に入居者の退去など変化があった場合には直ぐに買主に連絡しましょう。

金融機関に連絡

現在借入している金融機関に契約書を渡して一括返済する日を伝えましょう。

あとは司法書士に抵当権の抹消手続きを依頼しましょう。

買主の司法書士に依頼することもよくあります。

引き渡し

決済といわれるもので金融機関ですることが多いです。

書類一式と鍵を渡しましょう。

固定資産税や日割り家賃は引き渡し日に精算します。

契約のポイント

収益物件を買うときは1日でも早く、売る時には1日でも遅くがポイントです。

なぜなら日割り家賃があるからです。

契約すれば物件の売買代金はそのままですが、日割り家賃は1日でも長く保有していればその分の家賃収入は所有者のものになります。

月30万円の家賃収入がある収益物件の場合には、1日で1万円変わってきます。

最後に

不動産は売却するタイミングで値段が大きく変わってしまうことがあります。

不動産投資の注意点は物件を取得するときに出口戦略を考えておくことです。

リスクヘッジのためにも物件購入する前に出口戦略を考えよう不動産投資をするなら失敗しないためにもまず将来物件が売却できるのかを購入する前に考えましょう。 不動産投資をする場合には、多くの人...

出口戦略をしっかりたてておくことで適切な時期に売却することができます。

前もって準備するかしないかで失敗か成功の分かれ道になります。

また不動産を売却するにはいつくもの税金があるので、税金の勉強は不動産投資する上で重要なポイントです。

不動産投資をはじめてからでもいいので、不動産に関する税金は勉強しましょう。